福祉施設でボランティアとして「語り部」活動をする阿倍弘子さん。活動内容と今後の夢を語ってもらった。

豊橋のレク・コーディネーターの阿部弘子さんは、「福祉村あかね荘」で「語り部」活動に携わっている。この活動の主役は、受け身になることが多い知的障害者だ。物語を語る役、舞台装置づくり役、手拍子をする役など、一人一役を分担し、全員で物語を語り表現するというもの。スタッフはあくまでも黒子に徹するという。
語り部活動のきっかけは、児童文学者の正岡慧子さんとの出会い。正岡さんの絵本講座を通じて、横浜の老人ホームで正岡さんがボランティアをしていた語り部活動を手伝ったのが始まりだ。あかね荘の活動では「語り部」の上演をするために、ボランティアグループを組んで手伝っている。メンバーは女性レク指導者の会「わたぼうしの会」の会員や、レクインストラクター養成指導者講集会受講生、福祉専門学校の学生、小・中学生を含む20名。ボランティアメンバーの小学生も、自分がすべき役割をよく心得て、障害者の主体的な発表を手伝っている。今ではこの活動を「なんでもできるすてきな手」という意味を込めて、このグループを“まじっくはんど”と名づけ、活動の輪を広げている。

今後の阿部さんの夢は、あかね荘の一人ひとりと話しながら、彼らの思いが詰まった言葉を大切にすくいとり、文字で表す生きたエッセイ「ことばの玉手箱」を作ること。そのためにも、ゆっくり時間をかけてみんなから素適な生きたものを引き出すボランティア活動を仲間と楽しく進めていきたいと言う。
最後に阿部さんが、グループホームで暮らす山口あすかさんの言葉を文字になおしたエッセイを紹介しよう。「好きなこと、なに?」と話しかけた阿部さんに、「自分が好きになれることはとてもいい」と言って手をたたき、何度も「とてもいい」と言った山口さんの言葉だ。
「わたしのこと」
わたしの 好きなことは テレビを見ること
なぜなら 楽しいから
自分の できないことも 見られるから
きらいなものは パセリ においがきらい
でも 好きな食べ物は カレーライス
お母さんの 作った カレーライスが好き
わたしは 自分自身が好き 明るいし 元気がある
自分が好きになれることは とてもいい…
うれしい時は 自分が みんなと いっしょに居られる時
でも 何か思い出せないけど 泣きたくなった時もある
そんな時は 思いっきり泣いて 忘れちゃおう それがいい…
みんなと 暮らしていて 怒りたい時もあるけど
でもわたしは ほとんど笑っている
喜びたいときは 喜び 泣きたいときは 泣き
怒りたい時は おこる そんな自分が好き…
今年初めて出演した入居者の「ねずみ」と「うさぎ」。普段から二人はいつも仲がいい。
豊橋レクリエーション協会事務局 阿部弘子
TEL&FAX:0532-62-2275